もう都会には戻れないと感じた瞬間
私:「もう都会には戻れないね」 夫:「だね」
これは、先日実家から那須の自宅に帰った時、私と夫が交わした会話です。
私たち夫婦は、それぞれ別の時期にIターンで那須へ移住してきました。実家は私が千葉、夫は埼玉。今でも帰省はしますが、那須に自宅に戻ると心がホッと落ち着きます。
そう、私たち夫婦はもう那須以外の場所で暮らすなんて考えられないほど、「那須が大好き」です。そして娘と猫6匹と昨今の物価高騰に悲鳴をあげつつも幸せな田舎暮らしを楽しんでいる家族です。
「那須 移住 後悔」なんてキーワード検索しながら、もし今移住を真剣に考え、悩んでいる方がいらしたら、私自身の那須移住の体験談が参考になればうれしいです。
探し続けた「自分の居場所」
思春期からずっと感じていた“居心地の悪さ”
特に家庭内や友人関係に問題があったわけではないのですが、中学になったあたりからどうにも自分の「居場所」がないような、どこにもしっくりこないような、そんな気持ちを抱き続けていました。
思春期にはよくある事なのかもしれません。しかし、いつもどこかに「居心地の悪さ」を感じていた私は、その頃から自分の「居場所探し」をしていたような気がします。部活動に励んだり、バイトに励んだり、ボランティアに励んだり、それなりに充実した日々を過ごしてはいたものの、やはりどこか「ここじゃない」という気持ちをぬぐい切れず、悶々とした学生時代を過ごしました。
そしてそんな悶々とした気持ちを自然と落ち着かせてくれたのが、毎日の通学の電車から見える遠くの山々や空の景色でした。季節や天候によっては富士山が見えることもあり、そんな日はちょっと嬉しかったり。
遠くの雄大な山々や空を見て心を落ちつかせる、いつからかそんなことが日課になっていた、ちょっと変わった学生でした。
自然の景色が私にとって“拠り所”になっていたのかもしれません。
自然の中で働くことへの憧れと不安
大学を卒業しても、都会のオフィスで働く未来がどうしても想像できず、私は完全に就職浪人になりました。いつか自然豊かな場所で働いてみたいという気持ちがあったものの、都会育ちの自分にはたしてそれが可能なのか?と悩む日々でした。そんな時、見つけたのが宮城県にある「くりこま高原自然学校」の夏休みキャンプのボランティア募集でした。
「自然の中で働くとはどういうことか」を体験してみたい。そして本当に自分には自然の中で働く覚悟があるのか、それを試してみたい。そう思い、思い切って参加することにしたのです。
14日間のキャンプ体験が変えた価値観
未知の体験に飛び込んだ私
キャンプ経験ゼロ、料理も不慣れだった私が、子どもたちのサポートとして14日間、テント泊をしながら200kmをカヌーと徒歩で進むプログラムに参加しました。完全に未知の世界でした。
実際は子どもたちを支えるどころか、自分のことで精一杯。炎天下の中、30キロの荷物を背負って子どもたちとともに歩き、川を下り、ヘトヘトの体で食事やテント設営を共にする。20年経った今でも、星空の下で行ったミーティングの光景や、あまりにもきれいで子どもたちと一緒に感動した夕焼けの空の色は鮮明に覚えています。
見つけた「本当に自分が求めていた暮らし」
想像していたよりはるかに過酷なキャンプでしたが、探していたものがようやく見つかった瞬間でもありました。
「そう。これだ!」とようやく自分の「居場所」がどこなのかがはっきりと分かり、「自分の五感を使って生きる」それが、私にとっての理想の暮らし方だということがはっきりと分かりました。
今までの都会での暮らしの違和感はそこだったのだと。
この時の経験から、「やっぱり自然の中で暮らしていきたい」というしっかりとした覚悟ができ、都会を離れる決心がついたのでした。
那須移住の決めたポイント
理想と現実のちょうどいい着地点
その後数年かけ、日本の様々な場所を訪問しながら、自分の「暮らしていく」場所探しをしました。そしてたどり着いたのが那須でした。
理想は栗駒山での暮らしのように、自分たちで家を作り、沢の水を引き、畑を耕し、薪を作る、そんな山小屋暮らしでした。しかしどこかで、お洒落なカフェにも行きたい、買い物もそれなりにしたい、でも「自分の五感をしっかりと使いながら生きてゆきたい」と思う都会育ちのわがままな私にぴったりな場所が那須だったのでした。
実家にも何かあればすぐに行ける距離。両親も気軽に遊びに来れる距離。それも大事なポイントでした。いずれ結婚するかもしれない、その時に孫の顔をいつでも見に来られるくらいの場所。
そして友人が遊びに来た時には、温泉にも連れて行ってあげられる、きれいな景色を見せてあげられる。考えるだけでワクワクしたのを覚えています。
今でも、休日にはパン屋さん巡り、おしゃれなカフェ巡り、温泉巡り、登山にキャンプ、楽しみしかない過ごし方が出来ています。
こんな贅沢な暮らし方他にはないと思っています。
「人」との出会いが背中を押してくれた
移住のきっかけとしては、くりこまで知り合った友人が那須に移住していたことでした。何度か遊びに行くうちに、おしゃれなカフェや温泉、絶景スポットを案内してもらい、次第に那須の魅力に惹かれていきました。
そして何より、すでに移住している魅力的な人たちとの繋がりを持たせてくれたことで、こんな素敵な人たちが住んでいる那須に私も「移住したい!」という気持ちが強くなり、移住を決心しました。
那須にはたくさんの移住者がいて、私のように単身で移住する人も多く、みな寛容に受け入れてくれました。カフェやゲストハウスを営んでいる人、牧場で働いている人、アーティスト、ミュージシャン、皆それぞれの「ストーリー」を持って那須に移住し、思い思いの時間を過ごしながら「暮らしを楽しんでいる」ことがとても魅力的でした。
これといったストーリーを持っていない私でしたが、「那須が好き」という同じ価値観を持った人たちと過ごすのは本当に「居心地」の良いものでした。
ようやく私にも「自分の居場所」が見つかったのです。
日々の小さな発見が幸せ
飽き性の私が十数年も住み続ける理由
子どもの頃から何事もあまり続かない子でした。田舎暮らしをすると決めたものの、なかなか一つの場所にとどまらず、各地を転々としました。
正直私が「那須に移住したい」と両親に話した時もきっと「またすぐ違う場所へ行くだろう」と思っていたはずです。
そんな私が移住してから十数年経つ今もなお、那須で暮らし続けているのはなぜなのか?
その理由は、自分でも正直なところよくわかりませんが、おそらく「毎日が違うから」だと思います。
これは那須に限ったことではありませんが、同じ景色のように見えて、ちょっとずつ変化しています。
朝通る道、見上げる空、山の色合い…同じ場所なのに、ほんの少しずつ変わっていく。私はその小さな変化を見つけるのが毎日の楽しみで、大好きです。
特に季節の変わり目は「あ、新芽が膨らみ始めてる」とか「あ、ウグイスが鳴き始めた!」とか「あ、もう入道雲が見える!」とか、、、
本当に毎日忙しいのです(笑)

庭づくりも楽しみのひとつ
春になると宿根草や苗木を植えては梅雨時期や冬時期に枯らし、植えては枯らし、時々上手く根付いてくれて一人喜びをかみしめる、そんなことを毎年繰り返しています。
よし!今年こそはと春になると意気込むのですが、果てしない雑草との戦いになる夏頃にはその勢いも落ち、そして秋になるとガーデニングショップには素敵なお花の苗が並び始め、庭仕事が気持ちの良い季節になり、またフツフツと庭づくりに熱が入る。そんな毎年のルーティンなので、休日も休んでいる暇はありません(笑)

那須暮らしのデメリットや不安なことも
車社会であることの現実
このまま那須で暮らしていくことにまったく不安がないかというとそうではありません。
那須は車が必須な地域です。将来、歳をとって車の運転ができなくなった時の事が一番の心配事です。また、子どもが自分で移動手段がとれるようになるまでは送迎が大前提での生活リズムになります。
考えると不安になることもありますが、老後のために、居心地の悪い都会に暮らすという選択肢は私たち夫婦にはありません。
ですが、ある程度の将来のリスクについては夫婦で話し合っておく必要はあると思います。
それでも「都会には戻らない」と言える理由
それでも私たち夫婦は、「都会に戻る」という選択肢はありません。
たとえ多少不便でも、心地よい空気、穏やかな時間、そしてなにより自分らしくいられるこの場所で、家族と一緒に過ごせることが何よりの幸せだと感じているからです。
那須移住を考えているあなたへ
私は那須でようやく「自分の居場所」を見つけることができました。
もし今都会での生活に「居心地の悪さ」を感じているのなら、移住という選択肢もアリだと思います。
とはいえ、人生を決める大事な決断ですよね。それぞれの事情もあると思います。
でもあなたの人生は一度きりです。
もし、那須での生活を想像したときに「ワクワク」するのならそれが答えだと思います。
ワクワクする未来へ。一歩踏み出してみてください!
不安なことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。私に出来ることでお役に立てたらうれしいです。
私の体験談が、少しでもあなたの移住の参考になれば幸いです。